野球での守備時において当て捕りという技術があります。
当て捕りを習得することによって、捕球から送球までのスピードが格段に上がります。
当記事では、当て捕りの練習方法から、最適なグローブについて詳しく解説します。
この記事で解説していることを理解すれば、プロ野球選手顔負けの当て捕りに近づけるでしょう。
当て捕りは守備の上級スキルです。コツを理解し、何度も練習して技術を磨いていきましょう。
当て捕りは、内野手としては身につけておいて損はない技術です。捕球から送球までのスピードが格段に上がるので、紙一重のタイミングにもゆとりが生まれてくるでしょう。ただし、捕球ミスのリスクも高まるため、身につくまで繰り返し練習が必要です。
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当て捕りとは?
当て捕りとは、グローブの捕球面にボールを当てて投げる方の手に素早く握り替えるスキルです。
グローブのポケット(正しい捕球位置)で完全に握り込むのではなく、適度に開いたままのグローブをボールに当てての勢いを止めます。
そして、すばやく投げる方の手でボールを握って持ち替えます。
当て捕りがどんな捕球方法なのかよくわかる動画があるので再生してみてください。(※25秒あたりからのスロー映像がわかりやすいです)
上記の動画のように、ボールを捕球してから投げる方の手に持ち替えるまでが極めて早いのが特徴。
捕球後にすばやく送球する場面もある内野手にとっては、身につけたい技術の1つです。
当て捕りのメリット

グローブをコユニ(小指2本入れ)で使用するメリットは、大きく分けて次の3つです。
- 捕球から送球への動作が速くなる
- リズムよく守備ができて安定性が上がる
- 適度な脱力感覚を覚えられる
メリット1:捕球から送球への動作が速くなる
当て捕りの最大のメリットは、捕球後からの送球スピードが向上することです。
特にバッターの足が速い場面やダブルプレーを狙える場面では、素早い早急が求められますので、
当て捕りを活用するプロ野球選手も多いです。
メリット2:リズムよく守備ができて安定性が上がる
当て捕りは「止めて・持ち替えて・投げる」という一連の動作にリズムが出やすいので、スムーズな守備を実現しやすくなります。
流れるように一連の動作が行えるので、捕球・送球の安定性にも繋がります。
メリット3:適度な脱力感覚を覚えられる
正しい当て捕りは、捕球時にグローブ側の手を脱力して、打球の勢いを吸収しながら握り換えを行います。
適度な脱力は筋肉の緊張がほぐれ、動作がスムーズになります。
守備全体の精度が高まることに繋がります。
当て捕りのデメリット

グローブをコユニ(小指2本入れ)で使用した場合のデメリットは、大きく分けて次の2つです。
- 捕球ミスのリスクが高い
- 試合で活用するには技術が必要
デメリット1:捕球ミスのリスクが高い
当て捕りはしっかりポケットで掴む捕球と違って、エラーをするリスクが高いです。
打球に対してグローブを強く当ててしまうと、ボールとグローブが衝突して弾いてしまいますし、
ボールを当てる場所がズレてしまっても、スムーズな送球に支障が出てしまいます。
そのため、難しいバウンドの時やイレギュラーが起きやすいグランド状況の場面では、ポケットでしっかり掴んで捕球しましょう。
デメリット2:試合で活用するには技術が必要
当て捕りは正確なタイミングと技術が求められるため、初心者には難しい捕球方法です。
試合でのミスは勝ち負けの結果だけに留まらず、レギュラーを剥奪される可能性もありますので、安易に挑戦するのはおすすめしません。
しっかりと練習を行なって、精度が高まってから試合で活用するようにしましょう。
当て捕りのやり方

当て捕りをする時のグローブの使い方
当て捕りをするときは、グローブを浅く使うことと当てる場所がポイントです。
まずグローブのポケットを浅くすることで捕球面を広く使用することができます。
浅いグローブ

深いグローブ

次に当てるポイントは、中指・薬指の付け根付近や土手部分にボールを当てます。
これらの箇所を使うことによって、投げる方の手を少しでも早くボールに被せることができます。

深いポケットで当て捕りをしてもかまいませんが、握り換えのタイムがコンマ数秒遅くなってしまいます。
当て捕りで最速の握り換えを目指すのであれば、上記のポイントで捕球できるように練習しましょう。
当て捕りを身につける練習方法
当て捕りを身につけるためには、いきなりノックで練習するのはお勧めしません。
まずは、キャッチボールや壁当てでコツを掴みましょう。
キャッチボールで当て捕りの感覚を完璧に掴むと、
動画の源田選手のように、ボールをグローブで弾きながら握り換えができるようになります。
実戦でボールを弾きながら握り換えをすることはありませんが、感覚を養うためのトレーニングとして取り入れてみましょう。
このレベルまで到達すれば、グローブを出す位置もボールが弾かれる方向も感覚で分かるようになっているはずです。
あとは、ひたすらノックを受けて実戦で使える動作に進化させていくだけです。
実際の打球はキャッチボールとは異なり、「飛んでくる位置、捕球する姿勢、投げる方向、ボールの回転」がランダムになります。
それらの情報を瞬時に判断できるように、ひたすらノックを受けて感覚を養おう!
当て捕りにおすすめのグローブ 3選

当て捕りに向いているグローブの特徴
当て捕りはグローブによっても、やりやすい・やりづらいが変わってきます。
当て捕りに向いているグローブは、「軽さ、柔軟さ、浅さ」がポイントになります。
操作性に優れていて、尚且つポケットが浅めなグローブを意識して選ぶと良いでしょう。
当記事では、当て捕りにおすすめなグローブを3つ紹介します。
あらゆる観点から当て捕りと相性の良いグローブを厳選しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
Zeems(ジームス) YHシリーズ
当て捕りと言えば、ジームスのYHシリーズでしょう!
少し古いモデルではありますが、当て捕りをするためにできたグローブと言っても過言ではありません。
Zeems YH15(背面)

Zeems YH15(捕球面)

ジームスのYHシリーズの特徴は、手がグローブの奥までしっかり入ることです。
YHの名前の由来は、「(Y)よく(H)入る」という意味から名付けられています。
手が奥まで入ることによって、グローブが軽く感じ、素手感覚そのままで捕球することができます。
サイズはトレーニンググローブをベースに、5mmアップ・10mmアップ・15mmアップが展開されています。
当て捕りに向いているグローブのポイント(軽さ、柔軟さ、浅さ)が全て揃った、THE当て捕り向けグローブです!
久保田スラッガー T1(鳥谷敬モデル)
久保田スラッガーのグローブは、握り換えのしやすいモデルが多いです。
その中でも、ポケットが浅い小型のモデルが「T1」です!
久保田スラッガー T1(背面)

久保田スラッガー T1(捕球面)

久保田スラッガーT1の特徴は、折り返しハーフ(ハーフクロッチ)構造になっていることです。
この折り返しハーフ(ハーフクロッチ)構造は、ポケットが深くなるのを防ぐ効果と、人差し指を押し出しやすくなる効果があります。
グローブを浅く広く使えるので、握り換えがしやすいグローブと言えるでしょう。
守備の名手である鳥谷さんが使ってきたことが、このグローブの実力を証明していますね。
Teppen(てっぺん) RM6型
てっぺんのRM6は、当て捕り界隈で一世を風靡したグローブです。
Teppen RM6(背面)

Teppen RM6(捕球面)

てっぺんのRM6の特徴は、広い捕球面と軽量化が両立していることです。
ソフトボールにも使えるほど捕球面が広いのにも関わらず、グローブの革の厚みを調整することで軽量化を実現しています。
また、指又を深くすることによって独立性と屈曲性を高め、より素手感覚で操作することができます。
RM6がやや大きいと感じる方には、指を5mmカットしたモデルのDSK型を選ぶと良いでしょう。
当て捕り用グローブ型付け
当て捕りをしやすいグローブにするには、型付けも重要になってきます。
グローブの「軽さ、柔軟さ、浅さ」を損なわないように型をつけましょう。
型付けのポイント
当て捕り用のグローブを型付けする際は、捕球面を広く、ボールを浅く捉えやすい形を意識して調整する必要があります。
以下のポイントに注意して型付けすると良いでしょう。
型付けの手順
当て捕りしやすいグローブに仕上げるための、型付け手順を紹介します。
型付けの方法は、湯もみ型付けやスチーム型付けなど様々あります。
以下では、湯もみでの型付け方法を紹介していますので、参考としてご覧ください。
- 準備
- 以下のものを用意する。
- 型付けをするグローブ
- グローブオイルまたは保革クリーム
- 型付け用ハンマーやボール
- 湯もみをする場合は以下のものも追加で用意
- バケツに入ったお湯(40~60℃)
- タオル
- 以下のものを用意する。
- 湯もみ処理(任意)
- グローブ全体を40~60℃のお湯が入ったバケツに、グローブにお湯が染みる程度浸ける。
- グローブをバケツから取り出したら、乾いたタオルで余分な水分を拭き取ります。
- 浅めの指の曲げ
- 指の付け根を軽く曲げることで、ボールを浅く捕球できる形に整えます。
- 指を反る方向に曲げるなどして、捕球面が大きく開くように調整する。
- 捕球面の形成
- 型付けハンマーやボールでグローブの捕球面を叩きます。
- はじめは、ウェブ下の深いポケット部分を叩いて成形した後に、薬指側や土手部などにも浅いポケットを整形する。
- 全体的には捕球面を横に広げるように叩いていきます。
- 捕球時の形をイメージして型を整える
- グローブにボールを入れ実際に捕球をイメージしながら、より具体的な型を付けていきます。
- 深くなりすぎないように注意
- 自然乾燥
- 湯もみをした場合は通気性の良い日陰で自然乾燥させます。
- 直射日光やヒーターの使用はNG。
- 保革オイルの塗布
- グローブが乾いたら、保革オイルを塗布して革を保護します。
湯もみは自力での型付けとしてはややハードルが高いので、挑戦する場合はイメージトレーニングをしっかり行なってからやりましょう。
野球スクールを活用するものおすすめ!
当て捕りは高度なスキルなので、個人練習だけでは習得が難しい場合もあります。
そんな時は野球スクールを活用するのもおすすめです。
近年では、元プロ野球選手に教えてもらえる野球スクールも増加しており、確実に野球スキルが向上します!
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ここまで解説した内容をから、以下のようにポケットを選ぶと良いでしょう。
当て捕りは、特に内野手にとって有用な技術であり、試合でのスピーディなプレーに直結するスキルです。
ただし、すべての場面で適用できるわけではないため、状況やプレーの目的に応じて使い分けることが重要です。
まずは基礎的な捕球技術を身につけたうえで、当て捕りを応用的に練習していきましょう!