野球グローブを選ぶ際、ウェブや型に注目する人は多い一方で、「バックスタイル」まで意識して選んでいる人は意外と多くありません。
しかしバックスタイルは、グローブの見た目だけでなく、手のフィット感や操作性、捕球時の安定感に影響する重要な要素です。
背面(手の甲側)の構造や革の分割方法によって、グローブの開閉のしやすさや装着時の一体感は大きく変わります。
見た目だけで選んでしまうと、想像以上にフィット感や操作性に差を感じることもあります。
そこで本記事では、現代の野球グローブで代表的とされるバックスタイルを一覧形式で整理し、それぞれの特徴やプレー感覚の違いを分かりやすく解説します。
バックスタイルとは?
バックスタイルとは、グローブ背面(手の甲側)の構造・デザインを指します。

バックスタイルは大きく分けて、以下の8種類に分類することができます。
これらをベースに、各メーカーごと独自のデザインに設計されています。
バックスタイルがグローブに与える影響

バックスタイルは革の分割方法やハミダシの配置によって、以下のような点に違いが生まれます。
- フィット感
- 背面の可動性(グローブの開閉のしやすさ)
- 指の強度
- 見た目のデザイン
- ラベルの取り付け位置
これらのポイントも含めて、それぞれのバックスタイルを解説していきます。
代表的なバックスタイルの種類と特徴
現代の野球グローブにおいて、代表的とされるバックスタイルは以下のタイプです。
メーカーによって呼称や細部の仕様は異なりますが、基本構造としては共通点が多く見られます。
| 名称 | デザイン | 特徴 | 取り扱いメーカー |
|---|---|---|---|
| ①.スタンダードタイプ | ![]() | 王道。 フィット感・安定感・操作性のバランスが良い。 | ・全メーカー |
| ②.デュアルタイプ | ![]() | 指の強度が向上。 ポケットが深いモデルと相性良し。 | ・Wilson(ウィルソン) ・asics(アシックス) |
| ③.セパレートバックタイプ | ![]() | サイズ調整がしやすく、紐を強く締めた状態でも開閉が楽。 親指の連動性はダウン。 | ・SSK ・アイピーセレクト |
| ④.王冠(クラウン)タイプ | ![]() | グローブを握りこんだ際に指の第2関節が痛みにくい。 使い込むと革が伸びやすい。 | ・ほぼ全メーカー |
| ⑤.フリーフレクション (SSKオリジナル) | ![]() | 窓が通常より斜めに設けられており、ハサミ型(投手だとヨコ型)と相性が良い。 反面、型が制限される。 | ・SSK |
| ⑥.ライナーバックタイプ | ![]() | フィット感が高い。夏場はかなり蒸れる。 | ・ほぼ全メーカー。 |
| ⑦.コネクトバックタイプ | ![]() | ライバーバックの改良版。 指の付け根を分離することで屈曲性UP。 夏場はかなり蒸れる。 | ・ミズノ ・ZETT |
| ⑧.クローズバックタイプ | ![]() | ライバーバックの進化版。 フィット感が更に向上。夏場の蒸れも向上。 | ・SSK ・ローリングス ・GS |
日本で購入できるグローブの多くは「スタンダード」が採用されているよ。
②~⑧のバックスタイルは、スタンダードの弱点を補ったり、ポイントに特化することで生まれました。
ということで、それぞれのバックスタイルの特徴をスタンダードと比較しながらを解説していきます。
「全部を確認する必要はないよ!」って方は、確認が必要なバックスタイルをクリックしてくださいね!
1.スタンダードタイプ
最もオーソドックスなバックスタイルで、多くのグローブに採用されています。

背面の構造がシンプルで、フィット感・安定感・操作性のバランスが良いのが特徴。
クセが少ないため、初心者から上級者まで幅広く使いやすく、まさに王道なバックスタイルです。
悩んだらスタンダードを選んでおけば間違いありません。
2.デュアルタイプ
基本的な構造はスタンダードタイプと同じですが、ハミダシの数が1本の指に対して2本通っています。

WilsonのDUALテクノロジーが代表的で、スタンダードタイプよりも指の強度を高める効果があります。
近年では、選手の技術と道具の向上により打球が強くなっていますので、どんどん需要が高まっています。
ただし、指の強度を高めたことにより柔軟性が落ちるため、人差し指を押したり、横に広く使うには不向き。
「まずはしっかり捕球したい」という選手はデュアルタイプを試してみる価値がありますよ!
3.セパレートバックタイプ
スタンダードタイプをベースに、バンド(ベロ)が分離されたパーツで構成されているバックスタイル。

親指側と小指側の両方から締め上げることができるため、サイズ調整がしやすいのが特徴。
そのうえ、スタンダードタイプとは異なって親指側と小指側の両方が分離しているお陰で、紐を強く締めた状態でも開閉がしやすい。
逆に親指との連動性は落ちるため、ハサミ型(投手だとヨコ型)のように親指を支点に使うグローブとは相性がイマイチ。
デザイン性が良いため見た目で選びたくなりますが、グローブとの相性はしっかり考えた方がよいでしょう。
4.王冠(クラウン)タイプ
人差し指から小指の付け根部分が1枚の革になっているバックスタイル。
指付け根の革を繋ぐハミダシが王冠のように見えることから、王冠スタイルと呼ばれています。

古くから投手に根強い人気のあるバックスタイル。
メリットはデザイン性の良さだけでなく、指の付け根にハミダシが無いので、グローブを握りこんだ際に指の第2関節が痛みにくいです。(背面が柔らかい)
これは試合中に何度もグローブを握りこむ投手にとって大きなメリットです。
過去には長嶋茂雄氏も使用していたように、野手が採用しても問題ありません。
欠点としては、ハミダシが無いために王冠部分の革が伸びやすく、使い込むとフィット感が失われることくらい。
「1年でも長く良い状態で使いたい!」という耐久性重視の方にはおすすめしませんが、それ以外の方はデザインで選ぶのも良し。
5.フリーフレクション(SSKオリジナル)
SSKが展開する独自構造のバックスタイルで、窓が通常より斜めに設けられているのが特徴的。

よく見ると、ハミダシが指の付け根まで伸びていないのもポイント。
この2つの特徴によって、グローブをななめに閉じた際にスムーズな屈曲ができます。(革の突っ張りが逃げる)
内野手で採用している選手も一定数おり、「4.王冠スタイル」の派生といった位置づけになるでしょう。
欠点は、グローブの型が「ハサミ型(投手だとヨコ型)」か「スタンダード型」に限定されること。
そして、SSKでしか取り扱いがないということ。
ストレスフリーな開閉動作ができる優秀なバックスタイルなので、条件が一致される方は、ぜひ試してほしい1つです。
6.ライナーバックタイプ
背面のほとんどが革で覆われており、人差し指を出す穴だけが開いているバックスタイル。

こちらも古くからあるバックスタイルで、メジャーリーグでは多くの選手が採用しています。
背面のほとんどが革で覆われているためフィット感が高いのがメリット。
ただし、スタンダードタイプの背面と違い窓が無いため、ボックス型(投手だとタテ型)以外だと開閉がしづらいです。
また、グローブ内の通気性が悪いため、夏は蒸れて大変です。(冬は少し暖かいかも?)
ややデメリットが目立ちますが、一度ハマると癖になるバックスタイルなので、気になる方は店頭で試してから購入するのをおすすめします。
7.コネクトバックタイプ
ライナーバックのフィット感を保ちつつ、ハサミ型(投手だとヨコ型)に使いたいと出来たバックスタイル。

ライナーバックと同じく、背面のほとんどが革で覆われています。
違いは、やや人差し指の穴が大きいことと、中指から小指の付け根部分でパーツが分離していること。
これによって、(ライナーバックよりも)中指から小指の屈曲性が向上し、横に使いやすくなりました。
ただしデメリットもライナーバックから引き継ぎ、通気性が悪いです。
ライナーバックのようなデザイン、フィット感が良いけどヨコ型で使いたいという方は、コネクトバックを検討しましょう。
8.クローズバックタイプ
ライナーバックの進化系で、背面を完全に革で覆っているバックスタイルです。

ここまで紹介したバックスタイルの中で最も新しいバックスタイル。
背面を完全に革で覆うことで、圧倒的なフィット感を実現しています。
また、グローブに硬さが残りやすいので、力が入れやすい(握りこみ甲斐がある)のもポイント。
ただし、タテ型のコユニでの使用に限定されることと、ライナーバック系の共通点である通気性の悪さには注意が必要。
周りの選手と違うグローブを使いたい人は、チャレンジしてみませんか?
▶クローズバックをより詳しく知りたい人は『【クローズバック】大注目の人差し指を出さない投手用グローブを解説!』で確認しよう。
バックスタイル選びでよくある失敗

バックスタイル選びでよくある失敗は、以下の2パターンがあります。
デザインだけで選んで失敗
バックスタイルに関する失敗で多いのが、見た目だけで選んでしまうケースです。
もちろん、デザイン性はモチベーションに繋がるので重要なポイントですが、プレーの質が落ちては元も子もありません。
様々なバックスタイルを紹介してきましたが、どれもクセ(特徴)があります。
自分のプレースタイルとの相性を優先して選びましょう。
全体のバランスを考えずに失敗
相性の良い(使いやすい)グローブを選ぶには、全体のバランスが重要になります。
グローブは様々なパーツで構成されていて、バックスタイルはその中の1つにすぎません。
もし、オーダーグローブの注文を考えていて、特殊なバックスタイルを選ぶ予定なら、グローブ全体の相性を確認しましょう。
もし全体のバランスが不安なら、既製品を購入するか、既製品のモデルそのままに配色だけ変更するのが安心です。
▶バックスタイル以外のパーツの特徴を知りたい人は『【完全保存版】野球グローブをオーダーする前に必ず確認したい11のポイント』で確認しよう。
特別なこだわりが無いのなら「スタンダード」にしよう
もし、グローブのバックスタイルを決めかねているならば、「スタンダード」を選びましょう。
ありふれたスタンダードなバックスタイルに飽きて、違うバックスタイルを選びたくなる気持ちがとてもわかります。
でもよく考えてください。
なぜ既製品グローブのほとんどが「スタンダード」のバックスタイルなのか。
それは、スタンダードが最も優れていて、バランスが良いからなんです。
リスクを負って特殊なバックスタイルを選ぶより、性能が保証されている「スタンダード」を選びましょう。
まとめ
バックスタイルは単なるデザイン要素ではなく、プレー中の感覚に直結する構造部分です。
フィット感・操作性・見た目のバランスを理解したうえで選ぶことで、グローブの完成度は大きく高まります。
オーダーグローブを検討している方は、「ウェブ」「ラベル」「内芯」などと併せて、バックスタイルもしっかり確認しておきましょう。








