野球をやるには必ず必要な道具であるグローブですが、これまでたくさんの変化を遂げてきたことをご存知でしょうか。野球を長く続けてきた選手でも、あまり詳しく知らない人の方が多いのではないでしょうか。
当記事では、野球グローブの歴史について詳しく解説します。この記事を読めば、グローブの誕生から現在までの進化を理解することができます。
野球グローブの歴史を知ることでプレーに直接的な影響はありません。しかしながら、野球人として道具の知識を増やしておいて損はありませんので、一緒に学んでいきましょう。
野球はアメリカ発祥のスポーツであり、グローブもアメリカで誕生しました。その後、メーカーの設立や世界中での研究・開発によって、20世紀後半に現在のような形状になりました。
世界の野球グローブの歴史

まずは世界のBaseball(ベースボール)から野球グローブの歴史を見てみましょう。
初期の野球(19世紀中頃)
野球が初めて盛んになった19世紀中頃、選手たちは素手でプレーしていました。捕球する際に手への負担が大きく、ケガが多発していたため、手を保護する道具が求められるようになりました。
最初のグローブの登場(1870年代)
- 野球グローブの第一号が誕生
- 1875年頃、世界で初めての野球グローブが誕生しました。
野球で最初にグローブを使用したと言われているのは、チャールズ・ウェイト(Charles Waitt)という選手です。
世界初の野球グローブは、普通の革の手袋を簡易的に改良したものだったそうです。
この時点では、グローブは捕球の補助ではなく、主に手を保護する目的で使われていました。 - 他の選手たちは最初、グローブを使うことを「臆病だ」と考えていましたが、徐々にその有用性が認められていきました。
- 1875年頃、世界で初めての野球グローブが誕生しました。
グローブの進化(1890年代〜1920年代)
- 捕球を目的としたグローブに進化
- ウェブの導入
グローブの指と指の間に革を張った「ウェブ」が導入され、捕球面積が拡大しました。これによりボールをより確実にキャッチできるようになりました。 - 形状の進化
平らな形状だった初期のグローブは、手にフィットするデザインに進化し、ボールを掴みやすくなりました。
- ウェブの導入
モダングローブの誕生(1930年代〜1950年代)
- グローブメーカーの誕生・本格的な製造を開始
- メーカーの登場
RawlingsやWilsonなどのメーカーが、本格的にグローブの製造に着手し、革の品質やデザインが向上しました。 - ポケットの形成
現在のグローブに見られる「ポケット」が形成され、より捕球しやすくなりました。 - ポジション別のデザイン
投手用、捕手用、内野手用、外野手用など、ポジションに応じた特化型のグローブが登場しました。
- メーカーの登場
現代のグローブ(1960年代〜現在)
- 現代のスタイルが完成、さらなる進化
- 素材の多様化
天然皮革が主流ですが、軽量化や防水性を追求した合成素材のグローブも登場しています。 - カスタマイズ性
選手のニーズに応じて、フィット感、色、デザインを細かくカスタマイズできるようになっています。 - 技術の進化
人間工学を取り入れたデザインや、耐久性を高める縫製技術が導入されています。
- 素材の多様化
世界からみたグローブの歴史では、現代のようなグローブ形状になってから50年ほどしか経過していないことがわかります。
そのため、これからもグローブは進化していきそうですね。
日本でのグローブの歴史

続いて、私たちのいる日本はどうでしょう?
野球は明治時代に日本に伝わり、その後、独自の改良を重ねながら発展してきました。
そんな、日本国内でのグローブの歴史を見てみましょう。
野球の伝来と初期のグローブ(明治時代〜大正時代)
- 明治時代(1870年代後半〜)
野球がアメリカから日本に伝わった際、最初はアメリカ製の道具が使用されていました。グローブもその例外ではなく、初期の日本の選手たちは輸入品を利用していました。 - 国内製造の開始(大正時代)
大正時代に入ると、日本国内でグローブが製造されるようになりました。しかし、当時の技術はまだ発展途上で、形状や素材はアメリカ製のものと比べると簡素なものでした。
国内メーカーの台頭(昭和初期〜戦後)
- 戦前のメーカーの登場
野球の人気が高まるにつれ、グローブの国内生産が本格化しました。この時期には、以下のようなメーカーが登場しました:- ミズノ(Mizuno)
1906年創業のミズノは、1920年代に野球用品の製造を開始。グローブの製造もその一環であり、高品質な製品を追求しました。 - ゼット(Zett)
1911年創業のメーカーで、戦前からグローブを製造。職人の技術を活かした製品を展開しました。
- ミズノ(Mizuno)
- 戦後の再興と進化
第二次世界大戦後、日本の野球人気は急速に復活しました。これに伴い、グローブの需要も拡大し、国内メーカーが改良と生産に力を注ぎました。
技術革新と日本独自の改良(昭和後期〜平成初期)
- 日本人向けのデザイン
日本人選手の手のサイズやプレースタイルに合わせたデザインが進化しました。特に以下の特徴が日本独自の改良として挙げられます:- 手に馴染みやすいフィット感
- 細やかな縫製技術
- 高品質な牛革や鹿革の使用
- カスタムグローブの普及
選手個々のニーズに応じたカスタムメイドのグローブが一般的になり、ポジション別の最適化が進みました。 - メジャーリーグへの輸出
日本のメーカーが製造するグローブは、品質の高さからメジャーリーグの選手たちにも使用されるようになりました。例えば、ミズノのグローブは多くのMLB選手に愛用されています。
現代の日本製グローブ(平成〜令和)
- 高い技術力とブランド化
ミズノ、ゼット、SSK、アシックスなどのメーカーが、最新技術を取り入れたグローブを製造し、世界的な評価を得ています。 - 新素材の導入
天然皮革に加えて、軽量で耐久性のある合成素材が開発され、使いやすさが向上しました。 - クラフトマンシップの継承
日本の職人が作る手作りグローブは、精密な仕上がりで知られ、国内外のトッププレーヤーに支持されています。 - 日本製グローブの国際的評価
日本のグローブは「高品質」「長持ち」「使いやすさ」の観点から、国際市場でも高い評価を受けています。
世界の野球用品市場において、日本製グローブはプレミアム製品として位置づけられています。
日本では、第二次世界大戦後から野球グローブが大きく進化しました。
昨今、世界で活躍するプロ野球選手の守備を支えているのは、日本人の職人魂で独自の進化をした野球グローブと言っても過言ではありません。
昔のグローブはまっ平!?
ここまで歴史を文章で説明してきましたが、実際にどんな形状のグローブだったのか気になりますよね。
インターネットで画像を探していたところ、ブロガーさんの記事に画像が掲載されておりました。

もう初期のグローブなんて、ただの手袋ですね...。
これで硬球を捕っていたなんて、考えるだけで恐ろしいです。
これから先、野球グローブはどんな進化を遂げていくのか楽しみです。
昔のグローブは野球殿堂博物館で見られる!
ここまで紹介した昔のグローブの現物が見られる場所が日本にあります。
それは、「野球殿堂博物館」です。
野球殿堂博物館は、東京ドームの21番ゲートの横にあります。
ここでは、ジャイアンツ関係の展示だけでなく、プロ・アマ問わず国内外の野球に関する資料が展示されています。
その中には、昔のグローブがコレクションとして数点保管されています。
グローブ以外にも、野球の歴史が学べる場所ですので、ぜひ訪れてみてください。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ここまで解説した内容をまとめると、
野球グローブは単なる手の保護具から始まり、現在では選手のプレーを向上させる重要な道具へと進化しました。
グローブの発展は、野球そのものの技術的進化を反映しており、今後もさらに改良が進むことが期待されています。
これからも、グローブの進化を追いかけていきましょう!