野球のグローブって、同じメーカーのグローブでも、値段が高かったり安かったりしますよね。
ぱっと見同じように見えるグローブでも、高いグローブと安いグローブで明確な違いがあるのです。
そこで当記事では、高いグローブと安いグローブの違いを詳しく解説します。この記事を見れば、それぞれのグローブの特徴やメリットが理解できます。
必ずしも高いグローブがベストな選択とも限りません。安いグローブを買う方がメリットが大きい場合もありますので、グローブ購入時の参考にしてください。
高いグローブと安いグローブは、材料と製造方法の違いによって価格が異なります。
その中でも、グローブの大半を占める牛革が価格に大きな影響を与えています。
グローブの価格相場

野球グローブの価格相場は、種目や対象年齢によって異なります。
おおまかな相場観は、下記の通りです。
- ジュニアグローブ(少年用)
- エントリーモデル:5,000円~(参考:ローリングス シュアキャッチ オールラウンド用 8,000円)
- ハイクラスモデル:15,000円~(参考:ミズノ グローバルエリートRG 内野坂本勇人モデル 18,000円)
- 軟式グローブ(一般用)
- エントリーモデル:10,000円~(参考:SSK ウインドリーム 内野手用 12,000円)
- ハイクラスモデル:25,000円~(参考:ZETT プロステイタス 内野源田モデル 35,000円)
- 硬式グローブ(一般用)
- エントリーモデル:25,000円~ (参考:ザナックス スペクタス 内野手用 27,000円)
- ハイクラスモデル:50,000円~(参考:ミズノ CRAFTED EDTION 内野TM型 75,000円)
- ソフトボール用グローブ(一般用)
- エントリーモデル:8,000円~(参考:ミズノ ウィルドライブ 内野手用 11,000円)
- ハイクラスモデル:15,000円~(参考:ミズノ グローバルエリート 内野手用 18,000円)
では、何故1万円で購入できる物から、5万円以上する物まで、幅が広いのでしょうか?
それは、グローブの材料や製造方法によって、価格の差を生んでいるのです。
以降の項目にて、野球グローブの価格に影響を与える要因を解説していきます。
最も価格に影響を与えるのは革の違い

野球グローブの価格は、材料となる革の違いが一番大きな影響を与えています。
「革の種類(成牛・子牛など)」と「革の部位(尻・腹など)」の2要素で違いを見ていきましょう。
革の種類による違い
多くのグローブは牛革で作られています。
さらに、牛革の種類を細分化すると、「ステアハイド」「キップレザー」「和牛レザー」に分類することができます。
また、「メッシュ」や「スーパースキン(バスケットボール生地)」など、独自の素材を使ってグローブを製造しているメーカーも存在します。
その中でも、高価格帯のグローブには牛革を使用しており、低価格帯のグローブは、豚革や合成皮革が使用されているケースが多いです。
以下に代表的な素材の特徴をまとめてみました。
- ステアハイド( 生後2年以上の雄の牛から採れる革)
- 最も定番な革
- 強度と耐久性が非常に高い。
- キップレザー(生後6か月から2年未満の若い牛から採れる革)
- 軽量かつ柔らかい
- 手に馴染みやすい
- 和牛レザー(日本国内で飼育・消費された牛から採れる革)
- キャッチャーミットで使用されることが多い
- 繊維が強いため薄くて硬い
- スーパースキン(バスケットボールと同素材)
- ウィルソン限定の素材
- 強度は牛革の2倍と高耐久かつ、重さは牛革の1/2まで軽量化
- 合成皮革(人工的に作られた合成素材)
- 本革に比べて手触りや耐久性に劣るが、メンテナンスが簡単。
- 非常に安価
上記以外の素材が使用されたグローブがあります。
革の部位による違い
天然皮革(牛革や豚革)に限定される条件ですが、体のどこの部位を使っているかも重要になります。
なぜなら、部位によって「革の張り」や、「革の繊維」が異なります。
上質な部位の革だけを使ってグローブを作った場合には、牛1頭当たりから生産できるグローブの数が減ってしまうため、グローブ自体の価格が上がります。
- 尻(バット)
- 革の張りと繊維のバランスが良く、最も上質な部位
- 主に捕球面で使用される
- 肩(ショルダー)・背中(ベンズ)
- 耐久性が高く、やや硬さが強い部位
- 主にウェブなどの細かいパーツや、革紐に使用される
- 腹(ベリー)
- 柔軟性に優れ加工しやすいが、やや耐久性が劣る部位
- 平裏や内袋などの負荷がかかりにくいパーツで使用される
硬式用グローブと軟式用グローブの価格の差は、革の耐久性
ここまでの解説で、上質な革を使用すればするだけグローブの価格が上がることが分かったかと思います。
そのうえで、硬式用グローブと軟式用グローブでは、どちらが耐久性が必要でしょうか?
多くの方が想像されているとおり、捕球するボールがより硬い、硬式グローブの方が耐久性が必要になります。
そのため、硬式用グローブでは、より耐久性が高い上質な革・部位を使用するため、軟式用グローブより価格が高いのです。
※軟式用グローブが質の悪い革で出来ているわけではございません。
細かなパーツによる価格の違い

野球グローブの構成には、細かなパーツが付属しています。
これらのパーツも、大きな影響を与えるほどではありませんが、価格の上下に関わってきます。
芯材
グローブには芯材(親指芯・小指芯・土手芯)が入っています。
標準以上のグローブには、羊毛で出来たフェルト(ニードル)が素材となっています。
安いグローブは、糸くずを圧縮して固めたパットンが素材となっています。
芯材の材料でコストカットをしているようです。
ハミダシ
ハミダシは、指の背面パーツなどを縫合する際に挟み込むパーツです。
ハミダシがあることによって、強度を上げる効果があります。
標準以上のグローブには、(切りハミ・玉ハミともに)牛革で出来ています。
安いグローブは、合成皮革で出来ています。
合成皮革を使用することで、耐久性が落ちますが価格を下げることが出来ます。
ヘリ革
ヘリ革は、表の革と内袋の革を繋ぎ合わせるためのパーツです。
標準以上のグローブには、牛革で出来ています。
安いグローブは、合成皮革で出来ています。
ハミダシと同様に、合成皮革を使用することで、耐久性が落ちますが価格を下げることが出来ます。
製造方法による価格の違い

グローブ本体以外による価格上下の要因として、製造方法が関係してきます。
グローブ自体のクオリティではなく、生産コストによるビジネス的な要因です。
「大量生産」か「少量・受注生産」、「国内産」か「海外産」の2要素で違いを見ていきましょう。
「大量生産」か「少量・受注生産」
大手メーカーは、グローブを生産するための大きな工場で、多くの工員やロボットを駆使して、大量にグローブを生産しています。
一定の固定費(土地代・設備費・人件費など)に対し、生産数が増えることで、グローブ1つあたりの価格を抑えられます。
それに対し、中小メーカーは、小さな工場で職人が生産しています。
1日に生産できる個数にも制限があるため、コスト面と希少面から、グローブの価格が上がってしまいます。
「国内産」か「海外産」
もう1つの要因は、どこの国で生産されているかです。
これは、工員(または職人)の人件費に影響します。
海外には、日本より人件費が安い国があります。(中国やベトナムなど)
大手メーカーは、より人件費の安い海外にも工場を持っており、既製品などは、海外で生産し、コストカットしています。
それに対し、中小メーカーは、日本国内で生産している場合が多く、人件費のコストカットは難しい場合が多いです。
大手メーカーは安く、マイナーメーカーは高い傾向
上記の2要素から考えると、中小メーカー(マイナーメーカー)は、費用のコストカットが難しいため、全体的にグローブの価格が高くなってしまう傾向にあります。
対して、大手メーカーは製造方法の工夫次第でコストカットが可能ということがわかります。
ただし、大手メーカーのグローブがすべて安いわけではありません。
メーカーごとにグローブのグレードが存在しており、高グレードのグローブは国内生産、低グレードは海外生産などと分けている場合が多いです
ます。
なお、最高グレード(例えば、ミズノのミズノプロや、ZETTのプロステイタスなど)にもなると、職人の手作業が一部加わっている事で、更に価格が高くなります。
高いグローブのメリット・デメリット

メリット・デメリット
高いグローブであっても、メリットとデメリットが存在します。
必ずしも高いグローブを買うことがベストな選択とは限りませんので、今の状況と照らし合わせて判断することが重要です。
- 高いグローブのメリット
- 高品質なグローブ:上質な革を使っており、張りのある革で見た目もきれいです。
- 耐久性が高い:耐久性の高い革および部位で出来ているため、長く第一線で使用できます。
- モチベーションアップ:最高なグローブを使うことでモチベーションが上がります。
- 高いグローブのデメリット
- 購入直後は硬い:上質な革が故に、とても硬いグローブに仕上がります。型付けをしっかり行う必要があります。
- 買い替えがしづらい:ポジションが変わった時などに、新たにグローブを買い替える費用が高くつきます。
高いグローブは、ポジションが決まった後に購入するのがおすすめ
高いグローブは高品質なので、1つ所持しておいて損はないでしょう。
しかしながら、高価であるがゆえに、何度も買い替えることが難しいです。
ですので、チーム内でのポジションが確定してから購入するのをおすすめします。
例えば、高校2年生で新チームになって以降や、草野球チームで1年以上在籍してポジションがある程度決まってからが良いでしょう。
安いグローブのメリット・デメリット

メリット・デメリット
安いグローブであっても、メリットとデメリットが存在します。
安いグローブ = 粗悪ではありません。
状況によっては、安いグローブを買う方が良い場合もありますので、しっかりと吟味しましょう。
- 安いグローブのメリット
- 柔軟性がある:適度に柔軟性があるため、手に馴染むまでの時間が短い。
- 出費を抑えられる:高いグローブと同じ費用で、グローブを2つ購入できる可能性もある。
- 買い替えやすい:グローブがヘタってきたり、気分を変えたくなった時に買い替えやすい。
- 安いグローブのデメリット
- 耐久性がやや心配:特に指先が打球に負け始めたら買い替えを検討しましょう。
安いグローブは、チームに入りたての時や、サブポジ用におすすめ
安いグローブの最大の利点は値段の安さです。(そのまんまですみません)
その安さが活かされるのが、チームに入りたての1つ目のグローブ、またはサブポジ用の2つ目のグローブとして購入することです。
チーム入りたての際は、まだポジションが定まっておらず、在籍期間中にポジションが変わる可能性があります。
そのため、1つ目のグローブとして安いグローブを選択し、ポジションが確定してから、グローブの状態によって買い替えるというのがおすすめです。
また、普段は投手だが、たまに野手として出場する場合など複数ポジションを守る場合も、出場機会が少ないサブポジションのグローブを安い物にすることで、経済的に良いでしょう。
まとめ:高いグローブは高品質・安いグローブは合格点
高いグローブと安いグローブの違いがわかりましたでしょうか。
ここまで解説した内容をまとめると、
グローブの価格の違いは、材料や製造方法によって変動することがわかりました。
ただし、価格が違っても、メーカーの技術が注ぎ込まれたグローブであることには変わりありません。
「値段が安いから嫌」、「値段が高いからもったいない」などと値段で見切ってしまうのはおすすめしません。
高いグローブと安いグローブの違いを理解して、自分に合ったグローブを選びましょう!
また、野球グローブの事で質問などありましたら、気軽にコメントしてくださいね。