湯もみ型付けは、誰もが知る定番の型付け手段となりましたね。そんな湯もみ型付けを自分でやってみたいと考える方も多いでしょう。
当記事では、湯もみ型付けの手順や注意点を詳しく解説します。この記事を読めば、湯もみ型付けを自分でやるべきか、プロに任せるべきか見極めることができます。
野球グローブの湯もみ型付けは、グローブを柔らかくして手に馴染ませるための方法です。手順、注意点をしっかり理解してから、湯もみ型付けを行いましょう。
湯もみ型付けは、久保田スラッガーが発案した型付け技術で、専門の技術が必要です。
自宅でもできますがリスクも伴うため、知見を増やしてから実施することをおすすめします。
湯もみ型付けの起源
現在では、オーソドックスになった「湯もみ型付け」ですが、数年前までは否定派も多かったでしょう。
なぜなら、グローブは革で出来ているからです。革とお湯の相性は悪く、変形やひび割れ、縮みなどのトラブルを引き起こす可能性があるからです。
そんなイメージを覆したのが、守備の名手も愛用するグローブメーカーの「久保田スラッガー」です。
発案者は江頭重利氏。まだグラブの型付け文化すらあまりなかった1960年代に思いついたそうです。
日刊スポーツのコラムでは、このように話されています。
「温めた石に水をかけると蒸気が出る。すると人間の皮膚は柔らかくなる。じゃあグラブだって、水にぬれた後に乾かして蒸気で温めたら柔らかくなるんじゃないかなと考えたんです」
【鳥谷敬が名匠に会う】グラブ「湯もみ型付け」はなぜ誕生したのか90歳江頭重利氏が秘話明かす
当時の常識を打ち破った湯もみ型付けは、久保田スラッガーの代名詞となり、現在の標準となったんですね
湯もみ型付けの目的

湯もみ型付けの目的は、以下のとおりです。
- グローブを柔らかくする
- 硬い新品のグローブを使いやすい状態にするため。
- 手に馴染ませる
- プレイヤーの手の形や動きに合わせてフィット感を向上させる。
- 捕球面の形成
- ボールが収まりやすい形を作り、捕球性能を高める。
新品の硬いグローブを、力任せに握り続けてしまうと、変形して悪い癖(型)がついてしまいます。
そうならないように、理想のとじ型を湯もみ型付けで成形し、グローブのパフォーマンスを最大限に活かすことが目的なんですね。
湯もみ型付けのメリット

湯もみ型付けには、いくつかメリットがあるのでまとめてみました。
- 短時間で手に馴染む
- 通常の使用による慣らしよりも早く、実戦で使える状態に仕上がります。
- 手に合ったオリジナルのグラブが完成
- 自分のプレースタイルや握り方に最適な形状に調整可能です。
- 革の耐久性を保持
- 正しい方法で行えば、革の寿命を縮めることなく型付けができます。
湯もみ型付けを行うことで、理想の型が出来上がるうえに、通常より早く実戦で使用できるようなるのは大きなメリットだと言えます。
湯もみ型付けの手順
ここでは、湯もみ型付けの一般的な手順について紹介します。
メーカーや個人によって、細かな部分で違いがあります。
多くの方がYouTubeで湯もみ型付け動画を掲載されていますので、比較してみるのもおすすめします。
一般的な湯もみ型付け手順
- 準備
- グローブ、熱湯、タオル、グローブオイルまたは保革油を用意。
- お湯を準備
- 60〜70℃程度の熱湯を用意します。沸騰したてのお湯は高温すぎるため避けてください。
- お湯をかける
- グローブ全体、特に硬い部分(ポケット部分や親指・小指の付け根)にまんべんなくお湯で濡らします。
- 直接浸ける方法が最も定番ですが、長時間浸けると革にダメージが及ぶ可能性があるので注意。
革の状態や厚みによりますが、5秒〜1分前後でお湯が染み込んだら、お湯から出しましょう。
- 余分な水分を拭き取る
- タオルでグローブの表面をしっかり拭きます。
- 揉み込む
- 捕球面や指の付け根部分を手でしっかり揉み込んで柔らかくします。
- グローブを畳んだり、叩いたりして形を整えます。
- ボールを挟む
- グローブのポケット部分にボールを挟み、ゴムやバンドで固定します。これにより理想的な形を保持できます。
- 乾燥
- 通気性の良い場所で自然乾燥させます。ドライヤーや直射日光は革を傷めるので避けてください。
- 保革オイルの塗布
- 乾燥後、保革オイルを薄く塗布して、革の柔らかさを維持しつつ、ひび割れを防ぎます。
参考動画
野球YouTubeチャンネルのトクサンTVビヨンドさんが、久保田スラッガー東京支店で湯もみ型付けをしてもらっている動画をアップされています。
湯もみ型付けを生み出した久保田スラッガー伝統の技術は、見て損はありません。
湯もみ型付けの注意点

新品グローブの型付けにメリットがある湯もみ型付けですが、いくつか注意点もあります。
以下に注意点をまとめましたので、必ず目を通して、頭に入れてから湯もみ型付けを行ってください。
- 頻度
- 湯もみ型付けは新品時に一度行えば十分です。頻繁に行うとグローブの寿命を縮める可能性があります。
- 革のダメージを防ぐ
- 熱湯や長時間の水浸しは避け、適度な温度と時間で行う。
- 乾燥の仕方
- 急激な乾燥(ドライヤーやヒーター)は革を硬化させたり、ひび割れを引き起こす原因になる。
- 適切なメンテナンスが必要
- 湯もみ後の乾燥とオイルケアを怠ると、革が硬化する可能性があります。
初心者はプロに依頼するのがおすすめ
湯もみ型付けは、失敗するとかえって型や状態を悪くするリスクがあります。
自分で行うのが不安な場合は、スポーツショップや専門店でプロに依頼することをおすすめします。
代行サービスでは、専用の器具や技術を用いるため、短時間で高品質な仕上がりが期待できます。
価格は店舗によってバラバラですが、グローブ購入店舗での湯もみ型付けは3,000円〜5,000円ほど。
持ち込みグローブでの湯もみ型付けは、2倍の料金が相場でしょう。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ここまで解説した内容をまとめると、
湯もみ型付けを正しく行えば、グローブの性能が格段に向上します。
適切な方法で、ぜひ自分のプレースタイルに合ったグローブを育ててください!